寝る子と書いて
猫は本当によく寝る。子猫のうちは特に、といっても、大人になったらなったらで、もう戯れないから、 食べている時と食べ物をねだる時以外は、ほとんど寝ている。これは猫に限らず、猫科、野生の肉食狩猟動物は皆一様によく寝る。
というのも、草食動物と違い、日がな一日、草だの葉っぱだのを啄んでいるわけにはいかず。 食べるためには、狩りをせねばならず、それ以外の時は、無駄なエネルギーを使わない様に寝て過ごす。
子供のうちは、親が捕って来た獲物を貰って食べているわけだから、狩りをせず遊んで過ごせるわけだけれど、端から見れば無邪気に遊んでいるように見えても、実はこれも、狩りの練習だったりする。 遊びながら学べ!誰に言われずとも、子猫達は、それを実践しているのだ。
動く物にじゃれる。子猫同士の取っ組み合い。 そうやって、本能の赴くまま、機敏さを養い、身体能力を高めていくのである。
で、狩りのする必要のない家猫の場合どうかと言うと、子供のうちはまあ戯れる。 戯れまくり飼い主が放って置けば家中が大変なことになる。
家中駆け回り、カーテンによじ登り、棚や、テーブルの上の物を落としまくる。 どうやって上ったか、カーテンやピアノの上から降りられないから助けてくれ、などと鳴いている。助けてやったらやったで、興奮して爪を出したりするから、飼い主は負傷する。しかも懲りずに、同じような事を繰り返す。
大人になった猫はどうかと言うと、これもまた、遊びはせずとも、獲物?あるいは動く物を見た時は、 子猫と大差ない。
いやむしろ、さらに凄いかも知れない。飼い猫なのだから、生活はかかってないのだから、真剣勝負ではない筈なのに、やはり本能には逆らえないのだろう。
しかし、それ以外の時はほとんど寝ている。雨が降った日などは、もうこれ、はっきり言って一日中寝ている。どうせ狩りに出かけたところで、獲物なんか捕まりっこないということなのだろう。
食物が手に入らないから、無駄にエネルギーを使わず寝て過す、つまり雨の日なんかは、眠くてしょうがないっていうのは、熊や蛙の冬眠と同じ生物の本能ってことなのだろうけど、 飼主が呼んだって、いかにも眠そうに、動くのは耳だけ、身体を突いても、さもだるそうに、薄目を開けるだけ。
そして、 棚の上で寝返りを打って落っこちるのも大抵こんな時。しかも、これも懲りずに繰り返す。 それでも着地はきちんと出来るのだから、やはり寝ていないで、寝ている振りをしているだけなのかも。 いや、寝返りをうったら落ちることも分からない程熟睡していた筈なのだから寝ていたはずだ。 起きていたなら最初から落ちるはずがないではないか。
何れにしろ、決して背中からぶざまに落ちることはない。 身体が空中に移動したとたん目が覚めるのか見事に着地を決める。 そして再び落ちた地点に登り、眠りに戻るのである。
遊びと狩りの区別もないけれど、寝ている時と、起きている時の区別もないのかも知れない。 やはりこれも、野生の本能なのだろうか。

